涸沼が育てる、関東平野の米どころ
茨城町は水戸の南、関東平野の中央に位置する。町の東には涸沼という大きな湖が横たわり、涸沼川と涸沼前川が町の中心を南北に貫く。この水系が、この町の農業を支えてきた。
私がこの町を見るとき、まず思うのは「水と土地の関係」だ。涸沼はラムサール条約に登録された湿地で、その周辺の低地は古くから水田として開かれてきた。高速道路が通り、工業団地が広がった今でも、町の骨格は農業にある。米作りの歴史が深い土地だからこそ、返礼品として米が選ばれるのは自然なことだ。
茨城県産コシヒカリは、無洗米で届く。5キロ袋が2つ、合わせて10キロ。これは家族の食卓を考えた分量だ。無洗米というのは、研ぐ手間を省くだけでなく、米の表面の栄養層を失わない選択でもある。毎日の朝食に、昼の弁当に、夜の食卓に。この米が炊き上がるたびに、涸沼周辺の水田で育った穀物が家に着地する。

四季の野菜が、定期便で季節を知らせる
茨城町の農業は米だけではない。町の中央部から南部にかけて、野菜畑が広がっている。春の新玉ねぎ、夏のトマト、秋のニンジン、冬の大根。関東平野の気候と、涸沼周辺の水利に恵まれた土地は、年間を通じて多くの野菜を産出する。

年4回の野菜ボックス定期便は、この町の季節感を家に届ける仕組みだ。春・夏・秋・冬、それぞれの季節に旬の野菜と果物が詰められて送られてくる。何が入っているかは、届いてからのお楽しみ。これは、スーパーの棚に並ぶ「いつでも同じ野菜」ではなく、その季節に町の畑で採れたものを食べる、という農村の食べ方そのものだ。

冷蔵庫に届いた箱を開けるたびに、「今、この町では何が旬なのか」を知ることになる。調理する側も、その野菜に合わせて献立を考える。これが、産地と食卓をつなぐ本当の関係だと私は思う。
メロンと米焼酎。町の手間が詰まった品々
茨城県は全国有数のメロン産地だ。茨城町もその一角を占める。アールスメロンは、秀品の2玉。ネットメロンの栽培は、苗の育成から収穫まで、農家の手がかかる。一つの株から数個の実しか育たないよう調整し、その実に栄養を集中させる。届いたメロンは、その手間の結晶だ。
夏の盛りに、冷やしたメロンを家族で分け合う。その甘さは、町の日差しと水と土が作ったものだ。
米どころであり、水に恵まれた町だからこそ、米を原料とした酒も生まれる。涸沼周辺の米を使った焼酎も、この地域の産物として知られている。晩酌の時間に、町の米が別の形で食卓に上る。
返礼品を選ぶときの視点
この町の返礼品を選ぶなら、「米と野菜」を軸に考えることをお勧めする。旅行クーポンや高額品も用意されているが、茨城町の本質は、関東平野の農業にある。
コシヒカリの無洗米で毎日の食卓を支え、季節ごとの野菜ボックスで四季を感じる。その間に、メロンのような特産品が季節の彩りを加える。こうした選び方が、寄付という行為を「家の食卓への投資」に変える。
涸沼を臨む町の農業は、これからも続く。その営みを支える寄付が、同時に自分たちの食卓を豊かにする。そういう関係を、この町との間に作ることができるのが、ふるさと納税の本来の姿だと思う。
