北上川の流域で、果実を仕込む
岩手町は北上川が町の中央を南下する、山に囲まれた土地だ。東に北上山地、西に奥羽山脈がそびえ、その間の盆地で育つ果実がある。私がこの町の返礼品を見た時、最初に目に留まったのは、地元産のブルーベリーとリンゴを使ったワインだった。
ブルーベリーワイン「ルルとリリ」は、360ミリリットルの小ぶりな瓶に詰められている。ラベルには町の名が入り、作り手の顔が見える商品だ。フルーツワインというと、甘さだけが前に出る製品も多いが、この町のワインは異なる。北上川沿いの冷涼な気候で育ったブルーベリーの酸味と、その土地の果実を丁寧に仕込む仕事の痕跡が、瓶の中に詰まっている。

晩酌の時間に、グラスに注ぐと、深い紫色が光に透ける。ブルーベリーの香りは控えめで、むしろ発酵の過程で生まれた複雑さが前に出る。冷やして飲むのもよし、常温で飲むのもよし。チーズやナッツとの相性も良く、食卓に置くと、その夜の時間が少し丁寧になる。小さな瓶だからこそ、毎晩の晩酌に、季節ごとに違う返礼品を試す楽しみも生まれる。
山の恵みを、台所に
同じ町からは、ブルーベリーとリンゴの2本セットも届く。ブルーベリーの深さとリンゴの爽やかさを、同じ食卓で飲み比べることができる。北上川流域の季節の移ろいが、二つの瓶に詰まっているのだ。

また、国産牛の切り落としも、この町の返礼品として届く。山に囲まれた土地で育つ牛肉は、地元の飼料と水で育てられたものだ。すき焼きや焼肉の時に、この肉を手にすると、北上川沿いの風土が食卓に着地する。
岩手町への寄付は、小さな町の、地元の果実と畜産を支える仕事に向かう。返礼品として家に届くのは、その町の季節と手仕事の結果だ。