潮が岩を越える町で、ブリが主役になった
白糠町の名は、アイヌ語で「潮が岩を越える場所」を意味する。釧路の西、太平洋に面した小さな町だ。かつてここは炭鉱の町だったが、坑は全て閉じた。今、この町の生業は漁と農に移った。
特に漁業の風景が変わったのは、ここ十年のことだ。かつてはシシャモやサケが定置網の主役だったが、サケの漁獲が激減する一方で、ブリが急増した。冬の日本海から太平洋へ回遊するブリが、白糠沖の冷たい潮に集まるようになったのだ。町はこれを「極寒ブリ」とブランド化し、専用の加工場を整備した。
漁師たちは季節の潮目を読み、定置網を仕掛ける。獲れたブリは鮮度が命だ。陸に上がったその日のうちに、加工場で丁寧に処理される。冷たい海で育ったブリの身は、脂が乗りながらも引き締まっている。
漬け丼の素で、冬の食卓に白糠の潮を
極寒ブリの漬け丼素は、白糠漁協が仕込んだ返礼品だ。新鮮なブリを塩漬けにし、タレに漬け込んだ状態で届く。

家に届いたら、冷蔵庫から出して、ご飯の上にのせるだけ。タレが既に染み込んでいるから、調理の手間はない。だが、その簡潔さの裏には、漁から加工、冷凍、配送まで、町の漁業者たちの手が何度も通っている。
冬の晩酌に、あるいは休日の昼食に。ブリの脂の甘さと、塩辛さが交わる味わいは、白糠の冬の海そのものだ。一口食べれば、千島海流が運ぶ冷たさと、その中で育った魚の力強さが伝わる。
牛も、貝も、この町の手で
白糠の食卓は、海だけでは成り立たない。町の南東部には共同利用模範牧場があり、酪農が営まれている。白糠牛の三種セットは、その牧場で育った牛を、すき焼きやしゃぶしゃぶ用にスライスしたものだ。冬の夜、家族で鍋を囲む時、この肉が活躍する。

海の幸も多い。北海道産の生食用ホタテは、白糠沖で獲れた貝だ。容量が選べるのは、家族の人数や食べ方に合わせるためだろう。刺身で、あるいは軽く炙って、冬の食卓に甘みをもたらす。
白糠は、小さな町だ。人口は七千人余り。だが、その海と山から、季節ごとに異なる恵みが生まれる。ふるさと納税の返礼品は、その恵みを家の食卓に届ける、最も直接的な手段なのだ。
