寒暖の差が、肉に刻まれる
佐呂間町は、北海道の中でも気候が極端な土地だ。冬は−30℃を下回り、初夏には39℃を超える。この寒暖の年較差、日較差の大きさが、この町の畜産を形作っている。
サロマ湖に面した丘陵地帯で育つ牛たちは、季節の変化に身体で応答する。冬の厳しさを耐え、初夏の急激な温度上昇を経験する。そうした環境の中で、筋肉と脂肪のバランスが自然と整えられていく。サロマ和牛のスネ肉は、そうした風土の産物だ。

スネ肉は、牛の脚部の筋肉。赤身が主体で、適度な筋繊維の粗さがある。煮込み料理に向く部位だ。届いた肉を、冬の夜の鍋に入れる。低温でゆっくり加熱すると、筋肉の繊維がほぐれ、出汁が深くなる。翌日、冷めた煮汁を温め直すと、さらに味わい深くなる。この部位だからこそ、時間をかけた調理が活きる。
台所に届く、季節の手当て
佐呂間の畜産は、酪農と並行して営まれている。森永乳業の工場も町内にあり、乳製品の生産基盤がある。そうした背景の中で、和牛の飼育も地域の農業の一部として根付いている。

スネ肉は、家庭の台所で最も活躍する部位の一つだ。200g単位で小分けされているのは、実用的だ。一度に全量を使わず、週に何度かに分けて調理できる。冬の間、週末の煮込みに、平日の味噌汁の具に。肉の旨味が、シンプルな調理を支える。
北海道の豪雪地帯で育つ牛の肉は、保存性も高い。冷凍庫に常備しておくことで、季節を通じて、この町の風土を食卓に呼び込める。
