天塩川の支流が育てた米の季節
剣淵町は、天塩川の支流・剣淵川沿いに細長く広がる町だ。北海道の内陸部、上川地方の北端。人口三千人に満たない、静かな農村である。
この町の産業の中心は農業。畑作物、野菜、酪農、畜産と多様だが、何より米作りが町の営みを支えている。ななつぼしは、北海道で最も食べられている品種だという。つまり、この町の米は、北海道の食卓に最も広く届いている米なのだ。

秋、収穫を終えた米が家に届く。郵便受けに、五合。七百五十グラム。一週間分の朝食、あるいは家族の夜ご飯の白飯が、この量で何度も立ち上る。炊きたての湯気が立つ時、米粒の一つ一つが、剣淵川沿いの田んぼの夏を背負っていることを思う。
絵本の里で、米を選ぶ理由
剣淵町は「絵本の里」として知られている。一九八九年に国際絵本原画展を開催し、その後「絵本の館」という専門図書館を開館。毎年「けんぶち絵本の里大賞」を開催し、町づくりの拠点として機能している。
しかし、この町の本質は、絵本ではなく、農業にある。人口減少と少子高齢化が加速する中、毎年、田んぼで米を作り続ける農家たちの手がある。その手が育てた米が、北海道の家庭に届く。それが、この町の最も静かで、最も確かな営みだ。
ななつぼしを選ぶのは、そのためだ。寄付金の使い道が「絵本」や「観光」に向かうのではなく、この町で米を作り続ける農家、その営みを支える土地に向かうことを願うからである。
食卓に着地する、一杯の白飯
米は、毎日の食卓に着地する。朝、炊飯器のスイッチを入れる。夜、温かい白飯をよそう。その繰り返しの中で、剣淵町の秋が、家族の体に入る。
保存も簡単だ。郵便受けに届いた米は、冷暗所に置けば、季節を通じて食べられる。一週間分、と決めず、好きなペースで炊く。米の消費が少ない家なら、ゆっくり食べ進める。そうして、この町の営みが、あなたの台所の時間になる。
