桂川沿いの平野が、いま何を育てているか
豊後高田は、国東半島の西側に開けた町だ。かつて海運と商業で栄えた中心市街地は、いまも昭和の町並みを活かした商店街として知られている。だが私が注目するのは、その背後にある産業の層だ。
北は周防灘に面し、南は山地へ向かう地形。この町の農業は、海と山の両方の恵みを受けている。特産品として蕎麦、ネギ、落花生、ホオズキが挙げられるが、同時に畜産も根付いている。豊後牛は米仕上牛として知られ、この地の飼料文化と深く結びついている。
返礼品を見ると、その食卓の現実が見える。単なる「ブランド牛」ではなく、この町で育てられた牛が、どう食べられてきたかが問われている。
推し一品:おおいた和牛の切り落とし
200グラム×4パックという小分けの形態が、この返礼品の本質を語っている。
切り落としは、精肉店の台所知識が詰まった部位だ。すき焼き、牛丼、炒め物、味噌汁の具——季節と気分で使い分ける。冷凍で届いた4パックは、一週間の食卓に無理なく組み込める量だ。解凍して、そのまま鍋に入れる。脂が溶けて、汁に旨味が移る。
豊後牛は米仕上牛という。つまり、この町の米を食べて育った牛だ。返礼品として届いた肉を、この町の米と一緒に食べる——そこに産地の循環が成立する。
切り落としという形は、高級感よりも「使い切る」ことを優先している。家の冷凍庫に常備する肉として、季節を問わず活躍する。春は新玉ねぎと炒め、秋は栗と煮込む。そういう日常の手当てに、この町の畜産が組み込まれる。
古代米と、自然栽培の選択肢
同じく推したいのが、赤米・黒米・みどりもちのブレンドだ。

古代米という言葉は、時間を遡る響きがあるが、ここで大事なのは「自然栽培・無農薬」という現在の選択だ。300グラム×3袋という量は、試し買いに最適だ。白米に混ぜて炊く。香りが変わり、食感が変わる。
この町の農業は、蕎麦やネギといった露地野菜が主流だが、同時に古代米のような小規模・自然栽培の取り組みも存在する。返礼品として選べるということは、その多様性が町の中に根付いているということだ。
温泉と、季節の鮮魚
真玉温泉のペア宿泊券も、この町の地形を物語っている。炭酸水素塩泉という泉質は、国東半島の火山活動に由来する。一泊朝食付きという形は、観光ではなく「滞在」を前提にしている。

夏場なら、活〆の鱧のしゃぶしゃぶを取り寄せて、自宅で季節を味わう選択肢もある。800グラムは4〜5人前。周防灘で獲れた鱧を、その日のうちに活〆にして届ける。骨切りの手間は店で済ませられ、家では鍋に入れるだけだ。初夏の夜、鱧の白い身が湯に浮かぶ。この町の海が、食卓に着地する瞬間だ。
豊後高田の返礼品は、高級感や希少性よりも、「この町で、どう食べるか」を問い続けている。昭和の町並みを歩く観光客も多いが、本当の顔は、台所にある。