港町の朝は、火と塩の匂いから
須崎は太平洋に面した漁港だ。戦国時代から土佐屈指の港町として栄え、カツオ漁を中心に生きてきた町である。浦ノ内湾や須崎湾といった複雑に入り組んだ入り江が、小さな漁船の出入りを支えてきた。山林が市域の大半を占める地形だからこそ、海が生業の中心になった。
私がこの町を見ると、『食べ方の町』だと思う。漁師たちが毎朝、獲った魚をどう食べるか——その知恵が、返礼品に凝縮されている。
推し一品:ブリの藁焼きたたき
ブリのたたきは、須崎の食べ方そのものだ。150g以上の厚みのあるブロックが届く。藁で炙った表面は香ばしく、中身は生に近い。

家に届いたら、冷蔵庫から出して5分。常温に戻す間に、まな板を用意する。包丁を入れると、ブリの身が湿った音を立てる。一口大に切ったら、塩と酢橘。ご飯の上に乗せるのもいい、酒の肴にするのもいい。
なぜブリなのか。須崎の海は黒潮が流れ込む。冬から春にかけて、脂の乗ったブリが回遊する。漁師たちは、その季節の魚を、最も簡潔な方法で食べてきた。火で炙って、塩をふる。それだけで、魚の味が立つ。この町の台所は、素材を活かす『引き算の食べ方』を知っている。
他の選び方:珍味と、季節の恵み
同じ漁港の返礼品でも、土佐カラスミは別の食べ方を提案する。ボラの卵を塩漬けにした珍味で、100gの小ぶりなサイズが届く。薄くスライスして、酒の肴に。あるいは、ご飯の上に乗せて、お茶漬けにする。保存も効くから、来客時の一品になる。

海の幸だけでなく、ドライフルーツのセットも季節の手当てとして機能する。次郎柿やブラッドオレンジを乾燥させた2種類が届く。無添加で、旬の果物を選んでくれる。冬の台所に、甘みと酸味が加わる。
米も選べる。コシヒカリは定期便で、3kg から30kg まで容量を選べる。ブリのたたきを乗せるご飯は、この町の米であることで、食卓が一つの物語になる。
須崎に寄付することは、『漁港の食べ方』を家に迎えることだ。朝獲った魚を、火で炙り、塩をふる。その簡潔さと、素材への信頼が、毎日の食卓に着地する。
