琵琶湖と伊吹山地に挟まれた、食の厚みのある町
彦根市は滋賀県の東部、琵琶湖に面しながらも伊吹山地が近い内陸性気候の町だ。江戸時代、井伊家の城下町として栄え、中山道の宿場町・鳥居本宿も市域に含まれている。その歴史の重さは、空襲を免れた町並みにいまも息づいている。
この地形と歴史が、彦根の食卓を形作ってきた。琵琶湖からの水と、山地からの冷気。冬の積雪は県北部の他地域より少ないが、それでも厳しい季節がある。そうした環境で育つ牛たちが、近江牛として知られるようになった。
近江牛のすき焼き用——冬の晩酌の主役
近江牛のすき焼きは、この町の返礼品の中で最も素朴で、最も食卓に着地しやすい一品だ。モモ、バラといった部位が選べ、300gから1kgまで量も選べる。

届いた肉を見ると、霜降りの入り方が丁寧だ。すき焼きの鍋に割り下を張り、牛脂で焼き始めると、肉の香りが立ち上る。この香りは、近江の冬の冷たい空気の中で育った牛だからこそ。焼けた肉を卵にくぐらせて食べると、脂の甘さと赤身の深さが同時に口に広がる。
すき焼きは、家族が同じ鍋を囲む食べ方だ。野菜を足し、豆腐を入れ、ねぎを焼く。その間に、肉の焼き加減を見守る。こうした手仕事の時間が、冬の晩酌を豊かにする。近江牛は、そうした台所の営みの中で初めて活きる食材なのだ。
地元の精肉店の手仕事——コロッケに詰まった技
近江牛コロッケは、地元の精肉店が仕込んだ冷凍品だ。25個という数は、一度に食べるのではなく、何度も食卓に登場させることを想定している。朝食の一品に、子どもの弁当に、晩酌の肴に。

コロッケは、牛肉を細かく刻み、じゃがいもと混ぜ、衣をつけて揚げる。この工程の中で、肉の質が直結する。近江牛の赤身を使ったコロッケは、揚がった時点で既に香りが違う。冷凍のまま揚げると、外はカリッと、中はしっとり。玉ねぎの甘さと肉の旨味が層をなす。
クラフトビール——城下町の夜の相棒
クラフトビールのセットは、彦根の職人気質を映す返礼品だ。ペールエール、ヴァイツェンといった複数の種類が入る。
すき焼きの後、コロッケを肴に、こうしたビールを一杯。ペールエールの苦みは、近江牛の脂を洗い流す。ヴァイツェンの小麦の香りは、夜の琵琶湖畔の涼しさと呼応する。地ビールは、その土地の水と気候を映す。彦根のビールは、この町の冬の厳しさと、春の柔らかさの両方を含んでいる。
米——毎日の食卓の基盤
こしひかりやみずかがみといった米も、彦根の返礼品の柱だ。琵琶湖と山地に挟まれた土地で育つ米は、水が良く、昼夜の気温差がある。
すき焼きの後、ご飯をよそう。肉の脂が残った器に、温かいご飯を盛る。その一杯が、この町の食卓の完成形だ。
返礼品を選ぶ時は、一度に全てを揃えるのではなく、季節ごとに組み合わせることをお勧めする。冬はすき焼き用の肉を、春はコロッケを、通年で米とビールを。そうすることで、彦根の食卓は、一年を通じて息づき続ける。
