メサの盆地が育てた米の系譜
玖珠町は、多数のメサが盆地を取り囲む特徴的な地形をしている。その盆地の中で、米が育つ。私がこの町の米に注目するのは、単なる産地の名前ではなく、その水田が歴史の中で選ばれた経験を持つからだ。
1990年、平成の大嘗祭において、玖珠町大字小田の水田が斎田「主基田」に選定された。天皇の即位の儀式に用いられる米を育てる田として、国家の儀礼の中で認められたのだ。その選定は、この盆地の水と土、そして作り手の技術が、特別な品質を持つことの証だった。
玖珠の献穀米は、その系譜を引く米である。ひとめぼれという品種で、3kg から 15kg まで選べ、1回の配送か3回の定期便かを選択できる。毎月、あるいは季節ごとに届く米は、家の食卓に一貫性をもたらす。新米の季節の香り、秋が深まった頃の落ち着いた味わい、冬を越えた米の甘さ——季節の移ろいを、同じ産地の米で感じることができる。

盆地の米、三つの顔
この町には、米を扱う事業者が複数いる。玖珠の老舗米屋が届けるひとめぼれは、2合から 12kg まで細かく選べる。一人暮らしから家族まで、その時々の暮らしに合わせて量を決められるのは、小さな町の米屋ならではの融通性だ。

伊勢屋の米も同じく、複数のサイズから選べる。「玖珠から羽ばたく」というキャッチフレーズは、この盆地で育った米が、全国の食卓へ届くことへの願いを込めているのだろう。
盆地に降った雨は、玖珠川となり、田を潤す。メサに囲まれた地形は、水を逃さない。その地理的な恵みが、米の品質を支えている。毎日の飯として、あるいは定期便で季節ごとに届く米として、この町の盆地の米を家に迎えることは、その地形と歴史を、食卓の中に引き入れることなのだ。
