吉野川が育てた米、台所へ
上板町は吉野川の北岸に位置する。四国三郎と呼ばれるこの川は、古来より暴れ川として知られてきたが、この町ではむしろ農地を形成する恵みの川として位置付けられている。北に阿讃山脈を控え、南に吉野川を抱く地形が、複数の扇状地と肥沃な平野部をもたらした。江戸時代、徳島藩が農業振興に力を入れた時代から、現在の田畑のほとんどがこの地で開拓されてきた。
かきじぃのおすそわけ米は、その歴史の上に成り立つ返礼品だ。選べる容量(2合から5合)という設計は、一人暮らしから家族まで、それぞれの食卓のペースに合わせられる。米は毎日の食事の基盤だからこそ、『おすそわけ』という言葉が自然に響く。届いた米を研ぎ、炊く。その湯気の中に、吉野川の水と上板の土が凝縮されている。もちもちとした食感は、この土地の水と気候が作った米の個性だ。

藍と和三盆糖の産地が仕込む、酒
上板町の経済を語る上で、藍と和三盆糖は欠かせない。江戸時代の殖産振興政策により、阿波藍と阿波和三盆糖の生産が盛んになった。明治後期に輸入品に押されて衰退したものの、現在に至るまで生産は続けられている。この町の産業の厚みは、単なる農業ではなく、こうした特産品の製造技術と歴史に支えられている。

日本酒の飲み比べセットは、そうした産地の背景を持つ酒蔵の仕事を家に招く返礼品だ。5本のセットで、異なる銘柄や仕込みの違いを味わえる。晩酌の時間に、一本ずつ向き合う。冷やして、ぬる燗で、常温で。季節や気分に応じて、同じ酒でも表情が変わる。上板町で仕込まれた酒は、この土地の水と米、そして職人の手が一体になった結果だ。

山と川に挟まれた町の食卓
上板町の農業は、稲作だけではない。平野部ではキク、洋ニンジン、レタス、ホウレンソウ、イチゴなどの花卉や都市近郊型野菜が栽培され、山間部では柿や桃などの果樹栽培が盛んだ。また、徳島県最大の酪農地帯でもある。こうした多様な農産物が、この町の食卓の豊かさを支えている。
米と酒。この二つの返礼品は、上板町の風土と産業の歴史が、最も素朴な形で家の食卓に着地する瞬間を象徴している。