三年、樽の中で
私は吉野川市の梅酒を、この町の手仕事の一つとして見ている。
梅しずくは、梅の実を塩漬けにしてから酒に漬け、三年の時間をかけて熟成させた果実酒だ。三年というのは、単なる期間ではない。梅を塩漬けにする手、樽に詰める手、季節ごとに温度と湿度を見守る手。その繰り返しの中で、梅の香りと酸味が酒に溶け込み、角が取れていく。辛口に仕上げられているというのは、梅の本来の酸っぱさを活かしながらも、飲み手の食卓に自然に着地させるための判断だろう。

吉野川市は2004年に四つの町村が合併してできた市だ。鴨島町、川島町、山川町、美郷村。それぞれが独立した歴史を持ちながら、吉野川という一本の川によって結ばれていた。この梅酒も、そうした地域の中で、小規模な事業者が丁寧に作り続けているものだと考える。
晩酌の相棒として
届いた梅しずくを、冷やして飲む。あるいはロックで。あるいは炭酸水で割って。梅の香りが立ち上り、酸味が舌に心地よく残る。三年の熟成が、その一杯に凝縮されている。
吉野川沿いの夜。国道192号が東西に走り、JR徳島線が並走する。この町の人たちの日常の中に、こうした梅酒が静かに置かれている。特別な日のためではなく、仕事を終えた夜、家族と過ごす時間の中で。そういう場所に、この返礼品は自然に着地する。