川と海が交わる地形が、食卓を豊かにする
徳島市は吉野川の河口に位置する。三角州上に発達した町だ。市内には134の川が流れるという。これほど多くの水脈を持つ町は珍しい。
川と海が交わる場所には、独特の生態系が生まれる。淡水と塩水が混じる汽水域。そこに集まる魚たちがいる。鯛も鱧も、こうした潮目を好む。徳島の漁場は、そうした地形の必然から生まれた。
私がこの町を見るとき、返礼品は風景そのものの延長に見える。眉山を中心に広がる平坦な市街地。その周囲を取り囲む川と海。その環境が、食卓に何をもたらすか。それが返礼品の本質だ。
鱧鍋——潮目の魚を、冬に味わう
天然鱧の鍋セットは、この町の地形が生んだ一品だ。鱧は夏の京都で知られるが、徳島の鱧は漁獲量が全国でも有数。吉野川と紀伊水道が交わる潮目に、鱧は集まる。

届いた鍋セットを開けば、白い身が見える。冬の晩、家族で囲む鍋に入れる。昆布だしに鱧を落とすと、身がふっくらと浮かぶ。塩辛さと甘さが同時に口に広がる。それは、この町の川と海が一つになった味だ。
鯛のにゅう麺——朝食の温もり
天然鳴門鯛のにゅう麺も、同じ潮目の恵みだ。鳴門海峡の急流に育った鯛は、身が締まっている。それを出汁にして、細い麺を煮る。朝、湯気の立つ器を前にすると、この町の朝の空気が蘇る。

七味唐辛子が添えられている。好みで振りかけて、温かいまま食べる。一杯で、吉野川河口の冬の朝が、食卓に降りてくる。
季節の果実——定期便で四季を知る
川と海だけが、この町の恵みではない。季節の果物定期便は、市内の農地が育てた季節の移ろいを、毎月家に届ける。梨、ぶどう、すだち。それぞれが旬の時期に、産地から直送される。
一年を通じて、この町の四季を食卓で味わう。それは、返礼品を通じた、もう一つの町との付き合い方だ。
秘蔵酒で、晩酌の時間を深める
眉山の夢の熟成酒は、この町のシンボルである眉山の名を冠している。二十年の歳月をかけた酒。晩酌の時間に、一杯傾ける。その時、眉山の姿が脳裏に浮かぶ。
水都・徳島の返礼品は、風景と食卓を結ぶ橋だ。寄付という行為を通じて、この町の地形・気候・生業が、家の食卓に着地する。それが、この町との関係の始まりになる。
