山の雪解け水が育てる米、町の想いが込められた返礼品
奈義町は中国山地の北東に位置し、町名の由来となった那岐山がそびえ立つ。この山々に囲まれた土地は豪雪地帯でもあり、冬の厳しさは容赦ない。だからこそ、春の雪解け水は清冽で、その水が田を潤す季節になると、この町の農業は本気を出す。
私がこの町を見つめるとき、最初に目に入るのは、人口減少の時代に逆行する選択だ。平成の大合併を拒み、独立を貫いた奈義町は、その後、子育て支援に全力を注いだ。出産助成金、医療費無料化、給食費無料——こうした施策が実を結び、合計特殊出生率は全国屈指の水準に達した。その町が、返礼品として推す米に「子育て応援」という名を冠したのは、決して偶然ではない。
子育て応援米は、奈義町産の無洗米だ。BG無洗米という製法で、研ぐ手間を省いている。子どもを抱えながら、朝食の準備に追われる家庭を想像してみてほしい。水を注いでスイッチを押すだけで、白い湯気が立ち上る。その米粒の一つひとつに、那岐山麓の雪解け水と、この町が子どもたちに向けた想いが詰まっている。容量は5kg、10kgから選べる。家族の人数に合わせて、毎月の食卓に届く。

同じく奈義町産の米として、那岐山麓菜の花米という選択肢もある。こちらは金芽米で、玄米と白米の中間の栄養価を持つ。品種はコシヒカリ、あきたこまち、きぬむすめから選べ、容量も柔軟だ。菜の花という名は、春の田んぼを彩る景色から来ているのだろう。豪雪地帯だからこそ、春の訪れは格別に美しい。

牛肉の返礼品もある。タレ漬け牛カルビは、容量を細かく選べる。250gから2.0kgまで、1パック単位で組み合わせられるので、家族の食べ方に合わせて調整できる。焼肉の夜、子どもたちが喜ぶ食卓を想像しながら、容量を決める。そういう自由度が、小さな町の返礼品には宿っていることがある。
季節の果実も、この町の豊かさを映す
奈義町の農業は米と林業が中心だが、馬桑地区ではワサビが栽培されている。集中豪雨で一度は途絶えたが、隣町の高等学校の協力を得て復活した。そうした地域の結びつきの中で、果実の返礼品も育まれている。
白桃・マスカット・ぶどう詰め合わせは、6回の定期便で季節ごとに異なる果実が届く。白桃から始まり、マスカットオブアレキサンドリア、桃太郎ぶどう、ニューピオーネ、シャインマスカット晴王、紫苑へと移ろう。半年をかけて、この地域の果樹農業の営みを、家の食卓で追体験することになる。冷蔵庫に届いた果実を、子どもと一緒に切る。その瞬間の香りと甘さが、奈義町という土地を、家族の記憶に刻む。
小さな町だからこそ、返礼品は単なる商品ではなく、その町の生き方そのものを映す鏡になる。子育てを支える米、季節を運ぶ果実、食卓を豊かにする肉。それらが揃う奈義町への寄付は、この町の未来に投票することでもある。