山が水を、水が米を育てる
江府町は、大山の南麓に位置する。日本最大のブナ原生林が広がり、そこから流れ出す水は、町を流れる日野川や俣野川、船谷川といった複数の川となって合流する。町名そのものが「河川が合流し府(中心)となす」ところから名付けられたほど、この町は水に支配されている。
その豊かな水資源を背景に、サントリーが工場を構えて天然水を製造している。だが、この町の本質は、工業的な水の利用ではなく、農業の営みにある。米を育てるために、この山の水がどう使われてきたか。その歴史と現在が、返礼品に凝縮されている。
天然水とお米のセットは、この町を最も直截に表現している。奥大山の天然水と、江府町産のコシヒカリが一緒に届く。水と米。山と食卓。この二つが分かちがたく結びついていることを、物理的に感じることができる返礼品だ。

米を炊く時、山の水を思う
米を炊く時、多くの人は水道水を使う。だが、その水がどこから来たのか、どんな土地を流れてきたのかを意識することは少ない。江府町の返礼品は、その意識を呼び覚ます。
コシヒカリは、日本の食卓で最も一般的な米だ。だからこそ、産地による違いが際立つ。江府町産のコシヒカリは、ブナ原生林から流れ出す清冽な水で育てられた米である。その米を、同じ山から採取された天然水で炊く。食卓に、山の風景が立ち上る。
特別栽培米のコシヒカリも、同じ水系で育てられた米だ。2キロという量は、一人暮らしや少人数世帯が試しやすいサイズ。毎日の食卓で、この町の米がどんな味わいなのかを確かめることができる。

星空舞は、鳥取県産の新しい品種だ。コシヒカリとは異なる食感や香りを持つ米。同じ水系で育つ異なる品種を食べ比べることで、江府町の農業の多様性、そして米作りの奥深さが見えてくる。
豪雪地帯の米作りの現実
この町は豪雪地帯に指定されている。冬の厳しさは、米作りにも影響する。雪解け水の豊かさは、春から初夏にかけての水資源をもたらす一方で、農作業の時間的な制約も生む。そうした環境の中で、江府町の農家たちは米を育ててきた。
返礼品として届く米は、そうした風土の産物だ。単なる「おいしい米」ではなく、「この場所でこう育てられた米」として受け取ることが、この町への寄付の意味を深める。
毎日の食卓で、山の水を思い、豪雪地帯の農家の手を思う。そうした想像力を持つことが、ふるさと納税の本来の姿ではないだろうか。