駿河湾が育てる、春の小さな恵み
静岡市は南に駿河湾を抱き、北は赤石山脈の県境まで南北に貫く。市域の大半は山林だが、人口の98%は市街地の8%に集中する。その狭い平野部と、駿河湾の漁場が、この町の食卓を支えている。
駿河湾は日本有数の漁場だ。特に春と秋、桜えびの季節になると、湾内は小舟が行き交う。体長5センチほどの透き通った小えびは、塩漬けにして素干しにされ、家々の台所に届く。私は桜えびを、冬から春への季節の移ろいを告げる食材だと考えている。
駿河湾産の桜えび素干しは、125グラムを5袋に分けた返礼品だ。小分けされているのは、この食材の使い方を知っているからだろう。桜えびは一度に大量に使うものではない。かき揚げにするなら一握り、味噌汁に浮かべるなら数本、ご飯にかけるなら親指と人差し指でつまんだ量。毎日少しずつ、季節の香りを台所に呼び込む。

素干しの桜えびを手に取ると、塩辛い香りが立ち上る。熱湯をかけると、身が反り返り、色が濃くなる。その瞬間、駿河湾の潮風が台所に吹き込むような気がする。
駿河湾の恵みを、もう一皿
同じ駿河湾の漁場から、桜えびのかき揚げも届く。4食入りで、冷凍のまま揚げ直すか、温め直すだけで食べられる。自分で揚げる手間を省きながら、駿河湾の味を家族の食卓に乗せることができる。

春先、新玉ねぎが出回る季節に、このかき揚げを温かいそばの上に乗せる。桜えびの香りと、玉ねぎの甘さが、季節の変わり目を実感させてくれる。
冬の台所を彩る、いちごと柑橘
駿河湾の漁場と同じくらい、静岡市の農業も季節の食卓を支えている。冬から春にかけて、紅ほっぺのいちごが届く。2月上旬からの出荷で、冬の終わりから春の初めにかけて、家族で摘みたての甘さを味わえる。
秋には、ゆら早生みかんが3キロ届く。甘みと酸味のバランスが特徴で、朝食のテーブルに置いておくと、家族が自然と手を伸ばす。皮を剥く手間も、季節の手当てのひとつだ。
静岡市の食卓は、季節の積み重ね
駿府城の城下町として栄えた静岡市は、江戸時代には大御所政治の舞台となり、実質的な首都として機能していた。その歴史の中で、この町の台所は、駿河湾の漁場と、南アルプスの麓の農地から、季節ごとの恵みを受け取ってきた。
ふるさと納税の返礼品として届く桜えび、いちご、みかんは、単なる食材ではなく、静岡市の風土そのものだ。毎日の食卓に、季節の移ろいを刻み込む。それが、この町の食べ方である。
