米焼酎に、羽咋の土地が映る
羽咋は能登半島の西の付根、日本海に面した町だ。千里浜と呼ばれる砂浜が南北に連なり、邑知潟地溝帯に沿って水田が広がる。この地形が、米と塩と水をめぐる営みを育ててきた。
のと千里浜の米焼酎は、羽咋産の自然栽培米コシヒカリを使う。米を蒸し、麹を仕込み、仕込み水に塩辛い海の空気が混じる土地で、ゆっくり発酵させる。その過程で、米の甘さと塩辛さが対話する。晩酌の杯に注ぐと、米の香りが立ち、後から塩気が静かに引く。この町で育った米が、この町の水と塩で変わる。それが焼酎の仕事だ。

羽咋の米作りは、減農薬・自然栽培へ向かう農家たちの手で続いている。焼酎蔵もまた、その米を信じて、毎年仕込みを重ねる。一本の焼酎の背後には、田んぼの季節と、蔵の季節が重なっている。
米と、塩と、発酵の町の食卓
石川県産コシヒカリは、その米焼酎の原料そのもの。炊きたての白飯として食べれば、米の甘さが口に残る。この米を塩漬けにしたり、塩辛い漬物と合わせたりすると、焼酎の味わいが思い出される。食卓の中で、米と塩と発酵が一つの物語になる。

能登のどぶろくは、甘口と辛口の飲み比べセット。濁り酒、農民酒と呼ばれた発酵酒だ。米を仕込んで、麹と酵母の力で甘さと酸っぱさが共存する。焼酎とは違う、もっと素朴な発酵の味わい。冬の夜、温めて飲むと、米の粒が舌に残る。この町の古い食べ方が、今も蔵で続いている。
羽咋の返礼品は、米と塩と水という三つの要素で結ばれている。それは偶然ではなく、この町の地形と産業が、何百年も前から積み重ねてきた営みの形だ。
