加茂川が貫く、三方の山と平野
加茂市は東西に細長い。西は越後平野、東は新津丘陵の山地。市街地を南北に貫く加茂川は、昭和40年代の水害を機に河川敷が拡張され、今は市民の憩いの場になった。その川沿いに、この町の食べ物の正体が隠れている。
平野部は水田単作地帯。信濃川沿岸は和梨や桃、洋梨の果樹地。つまり加茂の食卓は、米と果実で成り立っている。古くから京都の賀茂神社の社領だったこの町は「北越の小京都」と呼ばれるが、その落ち着いた町並みの背景にあるのは、こうした風土の静かな営みだ。
七谷の棚田米、秋の手仕事
七谷産の棚田米コシヒカリを選んだ。加茂市の東部、粟ヶ岳の麓に広がる七谷地区。ここは古くから和紙「加茂紙」の産地だったが、今は棚田が残る。標高の割に急勾配の山々に刻まれた段々畑は、人の手が何代も重ねた風景だ。

この棚田で作られるコシヒカリは、定期便で選べる。1回だけ、あるいは毎月12回まで。秋の収穫から冬を越し、春先まで届く米を、季節ごとに食べ分ける選択肢がある。新米の香りから、貯蔵米の深い甘さまで、同じ産地の米が季節とともに表情を変える。台所に届いた時点で、その米がどの時期に刈られたのか、どう保管されたのかが、炊き上がりに反映される。そういう現実的な食べ方を、この返礼品は許す。
秋口、信濃川沿岸の洋梨
信濃川沿岸の果樹地帯では、11月下旬からル・レクチェが届く。新潟特産の洋梨だ。家庭用と贈答用があり、寄付額で選べる。

ル・レクチェは追熟が必須の果実。届いた時点では硬く、数日から1週間、室温で寝かせる。その間、香りが立ち上がり、果肉が柔らかくなる。冷蔵庫に入れるタイミング、食べるまでの日数を自分で調整する。つまり、この果実は『届いて終わり』ではなく、家の中で『育てる』ものだ。秋から冬へ向かう台所で、毎日その変化を見守る。そういう手間が、加茂の果樹地帯の仕事と重なる。
地酒で、町の層を知る
加茂には三つの酒蔵がある。加茂錦酒造、マスカガミ、雪椿酒造。地酒6本飲み比べは、この三蔵の銘柄を一度に試せる。720ml瓶6本、異なる蔵の個性が並ぶ。
晩酌の時間に、同じ町で作られた三つの酒を順に開く。水が違い、杜氏の手が違い、蔵の歴史が違う。加茂という一つの地名の中に、こんなに層がある。そのことを、酒を通じて知る。米と水と人手で作られた液体は、その町の地形と歴史を最も正直に映す。
加茂市への寄付は、こうした『季節の手仕事』と『風土の層』を、家の食卓に引き込むことだ。
