川が町をつなぐ地形
みどり市は、三つの異なる郡に属していた町村が2006年に合併して誕生した珍しい市だ。笠懸地区、大間々地区、東地区——この三つは地理的に離れており、鉄道で移動するには桐生市を経由しなければならない。だが渡良瀬川沿いの大間々地区と東地区は、わたらせ渓谷線でつながっている。
私はこの市を「川の町」と見ている。合併の枠組みが複雑だったのは、かつての競艇組合の主催権や郡の境界といった行政の事情もあるが、地形的には渡良瀬川が大間々と東を一つの生活圏として機能させてきたからだ。その川沿いを走るのが、わたらせ渓谷鐵道である。
トロッコ列車が見せる季節と風景
わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車は、単なる観光列車ではない。この鉄道は、かつて足尾銅山の鉱石を運んだ歴史を持つ。その線路が今、渓谷の季節を乗客に届ける。

大間々駅から沢入駅へ向かう約20キロの旅は、春の新緑、夏の深い緑、秋の紅葉、冬の静寂——四季それぞれに渡良瀬川の表情を映す。トロッコ列車の開放的な車両から見える景色は、この町が持つ自然の豊かさを最も直接的に伝える。合併で行政的には複雑な形になったみどり市だが、渓谷沿いの風景は一貫している。
寄付して届く体験は、家族で、あるいは一人で、季節を選んで乗ることができる。春先の新緑の中を走る列車、秋口の紅葉が川面に映る時間——そうした時間が、この町の本質を教えてくれる。
歴史が線路に残る
わたらせ渓谷鐵道は、明治時代から足尾銅山の産業を支えた鉄道の後身だ。その産業遺産としての価値は、今も沿線に残る。だからこそ、トロッコ列車での移動は、単なる景観の鑑賞ではなく、この地域がどのように栄え、どのように今の姿になったかを体で理解する機会になる。
三つの町村が別々の郡に属していながら、渡良瀬川という自然の流れでつながっていた。その地形と産業の歴史が、今もこの鉄道に刻まれている。