山の麓の牧場から、食卓へ
川崎町は宮城県南西部、蔵王連峰の麓に位置する町だ。町の面積の85%が山岳・丘陵地帯で、残る盆地部分に碁石川とその支川が流れ込む。この地形が、町の産業と食べ物の質を決めている。
厚切り牛タンは、そうした風土の中で育った牛の肉だ。山に囲まれた盆地で、清水に恵まれた土地。牧草地として適した傾斜地が多い。そこで育つ牛の肉は、脂の乗り方が違う。牛タンは特に、その牛がどこで何を食べたかが、歯ごたえと香りに出る部位だ。

届いた真空パックを開けると、肉の香りが立ち上る。厚さがあるから、焼くときに中火でじっくり。表面に焼き色がついても、中はまだ柔らかい。そこが食べ頃だ。塩をふって、レモンを絞る。あるいは味噌だれで。牛タンの旨さは、シンプルな調理ほど引き立つ。
季節の手当てと、町の産業
川崎町の返礼品は、食卓に季節をもたらすものが多い。福岡県産のいちごは冬から春へ向かう時期の便り。夢つくしという米は、毎日の白飯を支える。

町は笹谷街道という古い宿場町の道筋にあり、仙台と山形を結ぶ交通の要所だった。今も国道286号が通り、山形自動車道が町を貫く。そうした交通の便が、農産物の出荷を支えている。
牛タンを焼く夜。白飯をよそい、漬物を添える。そうした食卓の営みが、この町の産業と結びついている。山の麓で育つ牛、清水で育つ野菜や米。それらが家の食卓に着地する時、川崎町という土地が、初めて見える。