山が海に落ちる町で、柑橘が育つ理由
愛南町は愛媛県の最南端にある。篠山から観音岳を経て由良半島へと続く稜線が北の境界で、南と西は海に囲まれている。町域の大部分が山地で、その山がそのまま海に落ち込む—リアス式の複雑な海岸線だ。こうした地形が、この町の産業も食卓も決めている。
平地は僧都川の河口部に小さく開けているだけ。その限られた土地と、急峻な斜面を活かして、旧御荘町や旧城辺町の緑地区では柑橘類の栽培が盛んになった。温州みかんではなく、甘夏や河内晩柑(美生柑、愛南ゴールド)といった晩生種が中心だ。樹齢20年を超える古い樹も多く、山の斜面に根を張った樹は、深い土壌と昼夜の寒暖差を受けて、濃い甘みを蓄える。
河内晩柑は、その代表格だ。3月から5月にかけて出荷される晩生種で、酸味が抜けきった時期に食べると、果肉はしっとりとしていて、甘さが奥行きを持つ。家に届いたら、冷蔵庫で冷やして、朝食のテーブルに置く。皮を剥く手に、柑橘の香りが移る。その香りだけで、この町の斜面を想像できる。

海の仕事が、食卓の季節を作る
しかし愛南町の食卓は、柑橘だけでは成り立たない。深浦港はカツオの水揚げ港で、愛媛県唯一の存在だ。御荘湾ではカキ養殖が盛んで、タイやハマチ、フグ、ヒラメの養殖も行われている。さらに近年は、スマ(サバ科)の養殖も研究が進み、最高品質のものは「伊予の媛貴海」として出荷されている。
ウルメいわしの丸干しは、この町の食文化を象徴する一品だ。タレ漬けと丸干しのセットで届く。丸干しは、そのまま酒の肴にもなるし、ご飯の上に乗せて食べてもいい。朝、焼いて食べると、小骨まで食べられる。この町では「かいぼし」と呼ばれる、いわしの丸干しが郷土食として根付いている。漁師たちが毎日のように水揚げする小魚を、塩漬けにして干す—その手仕事が、季節ごとに食卓に着地する。

柑橘の甘さを、別の形で
柑橘の豊かさは、生の果実だけに留まらない。愛媛柑橘のカップアイスは、夢オレンジ、河内晩柑、愛媛みかんの4種を食べ比べられる。小ぶりなカップなので、毎日違う味を試すことができる。夏の午後、冷たいアイスを口に含むと、その町で育った柑橘の香りが、一瞬で蘇る。
不知火としらぬいのアイスも、同じ論理で選ばれた品だ。しらぬい(不知火)は、ポンカンとタンゴールの交配種で、甘さと酸味のバランスが独特だ。アイスにすることで、その特性がより引き立つ。
寄付の先にある、暮らしの実感
この町に寄付すると、季節ごとに異なる返礼品が家に届く。春は河内晩柑、初夏はカキやいわしの干物、夏はアイス。それぞれが、愛南町の山と海の仕事の痕跡を運んでくる。返礼品を選ぶときは、『今、この季節に何が欲しいか』を考えるといい。柑橘の季節なら晩柑を、夏の疲れを感じたらアイスを。そうして選んだ品が、家の食卓に着地するまでの時間が、この町への寄付の実感になる。