瀬戸内の地形が仕込む、二つの味
観音寺市は香川県の西端、瀬戸内海に面した町だ。北は中国山地、南は讃岐山脈に挟まれた地形が、この町の食卓を決めている。
西は燧灘に向かって川が流れ、三角州を形成している。その沖合い10km、伊吹島を中心とする島々からは、江戸時代以前からカタクチイワシ漁が続いている。いりこ製造は全国でも有名で、観音寺市は「いりこだ市」を名乗るほど。港から見える島々の漁火は、この町の産業の原点だ。
一方、南の讃岐山脈の山麓では、柑橘が育つ。冬から春にかけて、山の斜面に実った甘夏柑は、この地の日照と水はけが生んだ果実だ。
甘夏柑——冬の台所に、酸味と甘さが着地する
低温貯蔵の甘夏柑は、1月から6月にかけて届く。3kg というのは、家族で毎日食べるなら、ちょうど良い量だ。

甘夏柑は、温州みかんより皮が厚く、房も大きい。朝、皮をむくと、白い筋が手に残る。その筋ごと食べると、ほのかな苦みが甘さを引き締める。冬の朝食の定番になる果実だ。
低温貯蔵というのは、収穫後に冷蔵庫で寝かせることで、酸が抜け、甘みが増す手法。届いた時点で既に食べ頃だから、箱を開けてすぐに食卓に出せる。皮をむいて、そのまま食べるのが一番だが、半分に切ってスプーンで食べるのも良い。砂糖をかけずに、果実の甘さだけで十分だ。
いりこの酒——晩酌の相棒
川鶴の炙りいりこ酒は、伊吹島の漁場が育てたカタクチイワシを、炙ってから仕込んだ日本酒だ。いりこの香りが立ち、塩辛さと香ばしさが、晩酌の時間を深くする。

観音寺の台所では、いりこは出汁の主役だ。味噌汁、うどんのつゆ、煮物——いりこなしに讃岐の食卓は成り立たない。その同じいりこが、酒になると、香りと味わいが一層引き立つ。冷やして、または常温で、夜の一杯に。
うどんと、せんべい——日常の手土産
さぬきうどんの乾麺は、60人前という量が、この町の食べ方を物語っている。讃岐うどんは、家で茹でるのが当たり前の食文化だ。こだわりの茹で時間15分というのは、麺の芯まで火を通し、讃岐特有のコシを引き出すための時間だ。
あいむす焼のえびせんは、地元の菓子だ。無添加、無着色。えび、せんべい、おかきの三種が詰まっている。いりこの町ならではの、海の香りが活きた煎餅だ。
選び方——季節と家族の食べ方で
甘夏柑は冬から春の果実。届く時期を確認して、その季節の食卓を想像しながら選ぶ。いりこ酒は、晩酌の習慣がある家庭向け。うどんとせんべいは、日常の備蓄として、いつでも役に立つ。
観音寺の返礼品は、この町の産業と地形が一体になった品ばかりだ。瀬戸内の漁場と讃岐山脈の斜面が、家の食卓に届く。それが、この町に寄付する意味だ。
