盆地の昼夜差が米を育てる
東広島市の中央を占める西条盆地は、周囲を山々に囲まれた独特の地形だ。昼と夜の気温差が大きく、冬は放射冷却で厳しく冷え込む。この気候が、米粒に甘みと粘りをもたらす。酒蔵が軒を連ねる白壁と赤瓦の町並みの背景には、その手前に広がる水田がある。その米なくして、西条の酒は生まれない。
私がこの町を見ると、酒造りと米作りは切り離せない営みだと感じる。灘・伏見とともに日本三大酒処に数えられるこの地で、吟醸酒の発祥地・安芸津を擁する。1995年に国税庁醸造研究所が東京から移転してきたことで、醸造技術の研究と地元産業が結びついた。その研究の対象は、水と米と麹だ。
定期便で季節を食卓に
広島県産の定期便米は、6ヶ月間、毎月2キロずつ届く。出荷直前に精米されるため、家に着いた時点で香りが生きている。冬から春へ、春から初夏へと季節が移る中で、同じ産地の米を食べ続けることで、その土地の気候がどう米に映るかが、食卓で感じられる。

盆地の寒暖差は、米の粒を引き締める。炊きたての白飯は、粒がしっかり立つ。味噌汁に浸しても、ご飯粒が崩れにくい。朝の食卓で、昨夜の冷え込みが米に刻まれたことを、歯で感じる。
酒と米、そして水の関係
西条の酒蔵通りを歩くと、赤レンガの煙突と白壁の建物が、盆地の風景に溶け込んでいる。その建物の奥では、地元産の米が蒸され、麹が育てられている。賀茂鶴の大吟醸と純米大吟醸の飲み比べセットは、その町の酒造りの層の厚さを一本で示す。大吟醸は華やかさ、純米大吟醸は米の芯の味わい。どちらも、盆地の米と水があってこそ成り立つ。

米を定期便で受け取りながら、晩酌で地元の酒を傾ける。その時、食卓に乗る米飯と、杯の中の液体が、同じ土地から生まれたことに気づく。それが、この町の返礼品を選ぶ意味だと私は考える。
高屋町の造賀地区では、酒米の山田錦が生産されている。標高が高く、冬の冷え込みが厳しいこの地で育つ米は、粒が小さく、心白が大きい。酒造好適米としての条件を備えている。その米が、町の酒蔵に運ばれ、吟醸酒へと変わる。
無洗米の12ヶ月定期便なら、手間を減らしながら、年間を通じて産地の米を食べ続けられる。朝の準備が簡潔になる分、食卓に向かう時間が増える。そこで、米の味わいに集中する余裕が生まれる。
