海と山が作る、狭い土地の恵み
尾道に着くと、まず地形に圧倒される。瀬戸内海と北の山に挟まれた市街地は、平地をほぼ持たない。山肌に住宅や寺社が密集し、道は狭く、傾斜している。この「坂の街」と呼ばれる独特の景観は、決して観光のための演出ではなく、地理的な必然だ。
海運で栄え、鉄道が通り、映画の舞台になった尾道。だが本当の顔は、この狭隘な地形の中で、人々が何百年も営んできた生業にある。山と海の間で、限られた土地を活かす工夫。それが返礼品に映る。
因島の秋、蓬莱柿の季節
尾道市の島々の中でも、因島は独特だ。南西の土生港を中心に市街地が広がり、東部は海岸沿いに崖が連続する地形。その合間の平坦地に、柿の樹が育つ。
因島の蓬莱柿は、9月から配送される秋の味覚だ。約320グラムを4パック。手のひらに乗る大きさの柿は、瀬戸内の日差しと、潮風を受けた土地の産物。蓬莱柿は、干し柿の最高峰として知られる品種。届いた柿を数日干すと、表面に白い粉が吹く。その甘さは、限られた平地で育った樹が、一年かけて蓄えたものだ。

秋の晩酌の後、障子越しの夜風を感じながら、一つ口に入れる。柿の甘さが、ゆっくり溶ける。この季節の喜びは、地形が作った。
瀬戸田の柑橘、そして旅の選び方
尾道の返礼品を選ぶなら、島の産物を軸に考えたい。
生口島の瀬戸田地区は、瀬戸内海式気候の中でも特に温暖で、柑橘の産地として知られる。瀬戸田産のレモンは、40個を2本で届く。皮が厚く、香りが強い。搾ったレモン汁は、冬の鍋に、春の白身魚に。一年を通じて、食卓に瀬戸内の日差しを呼び込む。

また、同じく瀬戸田産のジェラートも、この地の果実を活かした一品。レモン、みかん、柑橘の香りが濃い。発送月を選べるのは、季節ごとに異なる果実の旬を届けるためだ。
尾道を訪ねたいなら、グランピング施設の宿泊券や瀬戸内の旅館の補助券も選択肢になる。だが、この町の本質は、坂を上り、海を眺め、島の産物を味わうことにある。返礼品を通じて、その季節の恵みを家に迎えることが、尾道との最も誠実な付き合い方だと私は考える。
