山に抱かれた川沿いの田んぼ
吉野町は、奈良県の中部で吉野川に沿って細く伸びた町だ。北は竜門山地、南は大峰山系に挟まれ、町の中央を吉野川が蛇行しながら流れている。その蛇行の内側、比較的平らな場所に集落と田んぼが細長く続く。この地形が、この町の食卓を決めている。
吉野川は上流の川上村から流れ込む津風呂川の水を集め、高見川と合流しながら下ってくる。山々に囲まれた谷間で、春から秋にかけて、この水が田を潤す。吉野大峯ごんげんらいすは、そうした環境で育つひのひかりだ。

届いた米を炊くと、粒がしっかり立つ。吸水から火加減まで、いつもより丁寧に扱いたくなる米だ。朝、湯気の中で箸を入れると、米の甘さが鼻に抜ける。白いご飯だけで食べたくなる、そういう米である。冷めても硬くなりにくく、おにぎりにしても翌日まで柔らかさが残る。この町の水と土が、そのまま食卓に着地する感覚だ。
杉の町の、もう一つの顔
吉野町は古くから吉野杉・檜の集散地として知られてきた。町内には貯木場があり、製材業が盛んで、割り箸や磨き丸太が生産されている。その杉の香りは、この町の空気そのものだ。

そして、その杉で作られた酒樽の香りを活かして、古くから日本酒も造られてきた。現在、町内で生産されているのは三つの蔵だ。無濾過無加水の生原酒セットは、吉野の酒を飲み比べる機会をくれる。冷やして、あるいは常温で、杉の香りが生きた酒の個性を感じながら晩酌する。米と杉、この町の二つの産業が、食卓の上で出会う瞬間だ。

米は毎日のこと。酒は季節の楽しみ。吉野町への寄付は、そうした日常と非日常の両方を、家に招き入れることになる。