吉野川が分ける、南和の台所
五條市は奈良県南西部、吉野川が市の中央を西流する町だ。金剛山と吉野連山に囲まれ、古来より大和と紀伊を結ぶ交通の要衝として栄えてきた。江戸時代には五條代官所が置かれ、新町通りを中心に南大和統治の中心地として繁栄した。その歴史の層の上に、いま五條市の産業を支えるのは柿である。生産量は日本一。秋になると、吉野川沿いの段々畑が黄金色に染まる風景は、この町の顔そのものだ。
私がこの町を見るとき、柿は単なる農産物ではなく、吉野川流域の気候と土地が生んだ文化だと思う。昼夜の寒暖差が大きく、水はけのよい土壌。そうした条件が、甘さと歯ごたえを兼ね備えた柿を育ててきた。
種なし柿、秋の食卓へ
種なし柿は、五條市の返礼品の中でも最も町の本質を体現する一品だ。4kg から 10kg まで選べる量は、家族の食べ方に合わせて調整できる実用性がある。届いた柿は、まず冷暗所で追熟させる。固めが好きなら数日で、柔らかさを求めるなら一週間ほど置く。その間、台所に秋の香りが満ちる。

種がないというのは、食べ手にとって何より大切だ。皮をむいてそのまま齧る、あるいは半分に割ってスプーンですくう。子どもも老人も、躊躇なく手に取れる。朝食の一皿に、昼間の小腹を満たす一個に、晩酌の後の一切れに。柿は季節の手当てとして、毎日の食卓に自然に着地する。
訳ありという表記も現実的だ。形が少し歪んでいたり、色が濃淡混じっていたり。そうした見た目の理由で市場に出ない柿が、家庭の食卓では何の問題もない。むしろ、そうした柿こそが、産地の本当の味を伝える。
米と酒、吉野川の恵み
無化学農薬・無化学肥料栽培の米も、この町の風土を語る品だ。吉野川の水を引いた水田で育つ米は、柿と同じく五條市の基本的な食べ物である。5kg という量は、一人暮らしから小家族まで、秋から冬にかけて食べ切る分量として実用的だ。

五伸の純米吟醸・特別純米酒セットは、米と水の町が生んだ酒だ。吉野川の清冽な水が、米の旨味を引き出す。晩酌の時間に、五條市の秋を杯で味わう。
柿を別の形で
柿ワインは、柿の別の表情を見せる。富有柿を使ったワインは、柿の甘さと酸味を新しい形で家に届ける。秋の夜長に、あるいは来客時に。柿という素材の多面性を、この町は知っている。
