揖保川河口、室津港の朝獲れ
龍野市の南端、揖保川が瀬戸内海に注ぐ御津町。ここに室津港がある。司馬遼太郎の『街道をゆく』にも登場した港だ。私はこの町を、山から海へ一本の川が貫く、小さな流域の物語として見ている。
北の中国山地から流れ下った揖保川は、江戸時代には素麺の産地を潤し、醤油の仕込み水となり、今も漁業を支えている。室津港で揚がる魚たちは、その川の流れ込みがもたらす栄養に育った。朝の競りで選ばれた旬の海鮮を、この町で代々受け継がれた秘伝のタレに漬ける——それが海鮮漬けセットだ。

台所に届く、漬けの仕事
五パック入りで届く。一パックは一食分、あるいは二人で分ける量。冷蔵庫に入れば、そのまま白いご飯の上に乗せるだけで晩酌の肴になる。漬けの仕事は既に済んでいるから、解凍して器に盛るだけ。手間がない。
だが「手間がない」ことの価値は、実は大きい。毎日の食卓で、新しく何かを作る気力がない夜もある。そういう時に、質の良い漬けが冷蔵庫にあると、食事が一段階上がる。ご飯が進む。酒が進む。家族の顔が少し柔らかくなる。
秘伝のタレというのは、一度の試行錯誤ではできない。何年も、何十年も、季節ごとの魚の脂の乗り具合を見ながら、塩梅を整えてきた職人の手がある。その積み重ねが、一パックの中に詰まっている。
龍野の産業の、もう一つの顔
たつの市といえば、素麺と醤油が知られている。だが漁業も、この町の生業の一つだ。御津町は瀬戸内海に面し、揖保川の河口という地の利を持つ。山と海が近い。そういう町だからこそ、海の幸を塩漬けにして保存し、食卓に届ける技術が育った。
寄付をすれば、その技術と、室津港の朝の営みが、あなたの家の冷蔵庫に着地する。それは観光ではなく、日々の食べ方の一部になる。