三つの海に抱かれた地形が、野菜と魚を育てる
南あわじ市は淡路島の最南端にある。播磨灘、紀伊水道、そして鳴門海峡——三つの海に囲まれた地形だ。兵庫県下で唯一、太平洋に面する自治体でもある。
瀬戸内気候に属し、夏は少雨。その気候がため池を増やし、農業を支えてきた。市内には諭鶴羽山という淡路島内最高峰があり、山から海へ向かう地形は、水と土の流れを自然に整える。こうした地理的条件が、近畿地方で第一位の農業産出額を生み出している。
食の宝庫——その言葉は、単なる修辞ではなく、地形と気候が必然的に生んだ結果だ。
甘さが凝縮した、フルーツ玉ねぎ
南あわじ市の玉ねぎは、全国で知られている。なかでもフルーツ玉ねぎは、この町の代表作だ。

温暖で少雨の気候が、玉ねぎの糖度を高める。水稲と露地野菜を一年を通じて栽培する「三毛作」が行われるこの地では、玉ねぎは冬から春にかけて育つ。その間、日照と乾燥が糖分を凝縮させる。
届いた玉ねぎを切ると、甘い香りが立ち上る。生でスライスしてサラダに、あるいは軽く炒めて甘みを引き出す。冬の食卓に、春の食卓に、この玉ねぎがあると、季節の移ろいが味わい深くなる。
同じく玉ねぎを使ったフルーツ玉ねぎスープも、朝食の定番になる。玉ねぎの甘さだけで仕立てたスープは、素朴で、毎朝飲みたくなる味わいだ。

鳴門海峡の潮目が育てる、トラフグ
海の側面も見落とせない。鳴門海峡を挟んで四国と向き合う南あわじ市の沿岸では、小型漁船による漁が営まれている。ちりめんじゃこ、イカナゴ、アジ——そして海面養殖漁業では、海苔、ワカメ、トラフグ、ハマチが育つ。
淡路島産の3年トラフグは、鳴門海峡の潮目で育った逸品だ。身が引き締まり、白子も濃厚。冬の夜、鍋を囲む時間が、この一品で特別になる。刺身の透き通った白さ、鍋で火を通した時の食感——五感で季節を感じる食べ方だ。
淡路牛も、この土地の産物
山と海に挟まれた平野では、酪農と肉用牛の飼育も盛んだ。淡路牛の切り落としは、日常の食卓に迎える肉だ。焼肉に、すき焼きに、炒め物に——手軽に調理でき、淡路島の牧場で育った牛の味わいが家に届く。
寄付をすれば、この町の風土が育てた四季の食べ物が、季節ごとに家に届く。それが、ふるさと納税の本来の姿だと私は考えている。