加古川と杉原川が織りなす、播州の台所
西脇市は兵庫県の内陸、中国山地の東南端が播磨平野に降りてくる位置にある。加古川、杉原川、野間川の三つの河川が流れ、その水が200年以上前から播州織の染色を支えてきた町だ。江戸時代中期、京都の西陣から伝わった織物の技術が、農家の冬仕事として根付き、やがて日本中の先染織物の七割以上を占めるまでになった。
その同じ水と土が、今も野菜を育て、米を育て、そして黒田庄和牛を育てている。私がこの町を見るとき、返礼品の一つ一つが、その地形と産業の歴史に繋がっていることに気づく。
黒田庄和牛の切り落とし——毎日の食卓へ
黒田庄和牛の切り落としは、神戸ビーフの産地として知られる西脇の代表的な返礼品だ。切り落としという形態が、実は家の食卓に最も着地しやすい。


届いた小分けパックを冷凍庫から取り出し、夜の味噌汁に落とす。朝の卵かけご飯の上に少し乗せる。週末のすき焼きの鍋に、惜しみなく入れる。高級部位ではないからこそ、毎日使える。脂の質感が良く、加熱すると甘みが出る。冷凍のまま炒め物に入れても、繊維がほぐれやすく、調理の手間が少ない。
黒田庄は旧多可郡の地名で、2005年の合併で西脇市に統合された。その地で育つ和牛は、播州の水と飼料に育まれた肉だ。切り落としという「訳あり」の形だからこそ、寄付額も手頃で、家計に優しい。
米と酒——同じ土地の恵みを飲む
ヒノヒカリの白米は、西脇の農地で育つ。播磨平野の肥沃な土と、加古川の水が育てた米だ。粒が揃い、炊くと甘みが立つ。毎日の飯として、この米を選ぶことは、その土地の農業を支えることになる。

醸し人九平次の別誂は、西脇産の山田錦を使った純米大吟醸だ。同じ町で育った米が、酒になって戻ってくる。晩酌の盃に注ぐとき、その米がどこで育ったか、どの水で育ったかが、味わいに影響する。山田錦は酒造好適米として知られ、西脇の土がこの品種を育てるのに適していることを示している。
織物の町の、もう一つの顔
播州織のメンズシャツジャケットは、この町の産業そのものだ。オーガニックコットンとヤクウールの混紡で、播州の織機で織られた生地。200年の技術が、一枚の衣に凝縮されている。返礼品として選ぶことは、播州織の職人たちの手仕事を、直接支えることになる。
西脇に寄付することは、単に返礼品を受け取ることではなく、その町の水と土、産業と歴史に触れることだ。毎日の食卓に届く米と肉、晩酌の酒、そして身に纏う織物。すべてが、加古川と杉原川が織りなす播州の風土を語っている。
