琵琶湖と鈴鹿山地に挟まれた、平野の町
竜王町は滋賀県の湖東地方、琵琶湖の東側に広がる平野のほぼ中央に位置する。西に鏡山、東に雪野山を控え、その間を日野川とその支流が貫流する地形だ。私はこの町を、水と土地に恵まれた「農業と製造業が共存する平野」として見ている。
町の産業構成を見ると、第二次産業が52%を占め、ダイハツ工業の滋賀工場が約4000人の雇用を生み出している。だが同時に、この町は近江牛の産地でもあり、ダイハツがその工場内でバイオガス実証プラントを設けるなど、第一次産業との連携を模索している。つまり、竜王町の返礼品を選ぶということは、この町の「農業と産業が向き合う現場」を家の食卓に迎え入れることなのだ。
近江牛のしぐれ煮——ご飯の上に、この町の歴史を乗せる
近江牛のしぐれ煮は、この町を代表する返礼品だ。黒毛和牛を塩辛く煮詰めたもので、80gか160gか選べる。

しぐれ煮は、江戸時代から続く保存食の調理法だ。塩漬けにした牛肉を砂糖と醤油で煮詰め、冷めると脂が固まる。冷蔵庫から出して、温かいご飯の上に乗せると、脂がほんのり溶けて、ご飯全体に牛の香りが広がる。朝食の一品として、あるいは夜の晩酌のつまみとして、毎日の食卓に着地する。
近江牛は日本三大和牛の一つで、竜王町はその産地の一角だ。この町の牧場で育った牛が、塩漬けと煮詰めという手間をかけて、小さな瓶に詰められる。届いた時点で既に調理済みなので、温めるだけで食べられる。保存も効く。家の台所に常備しておくと、ご飯が進まない朝も、酒の肴が欲しい夜も、この町の味が救ってくれる。
米と酒——平野の恵みを、別の形で
竜王町の返礼品には、米も多い。令和7年産の米は、ミルキークイーン、日本晴、みずかがみから品種を選べ、5kgか10kgか選べる。湖東平野の水と土が育てた米だ。

この町で育つ米は、日野川の水を引いた水田で作られている。毎年、品種と容量を選んで届けてもらう楽しみがある。白米で炊いて、その上に近江牛のしぐれ煮を乗せる。あるいは、玄米で炊いて、噛み締める。米の選択肢が複数あるのは、この町の農業が多様な品種に対応していることの証だ。
松瀬酒造の日本酒も、この町の返礼品だ。限定純米酒で、金賞を受賞している。竜王町で育つ米と、この地の水で仕込まれた酒。晩酌の時間に、この町の風土が杯に映る。
選ぶときの視点
竜王町の返礼品を選ぶなら、「この町で何が育ち、どう食べられてきたか」を軸に考えるといい。近江牛のしぐれ煮は、毎日のご飯のお供として。米は、季節ごとに品種を変えて、その年の味を試す。酒は、晩酌の時間に、この町の水と米の物語を飲む。
返礼品は、寄付の見返りではなく、この町の台所に招かれることだ。竜王町の食卓は、琵琶湖と鈴鹿山地に挟まれた平野の、静かな営みの中にある。
