五十鈴川の流れと、醸造の町
伊勢市の南部は標高100メートルから500メートルの丘陵地が広がる。北部は伊勢湾に面した平地だ。この地形の中で、宮川、五十鈴川、勢田川が流れ、古来より水に恵まれた土地として知られてきた。
江戸時代、「お伊勢まいり」で全国から参詣客が押し寄せた。外宮の周辺に山田の町が、内宮の周辺に宇治の町が形成された。鳥居前町として発展したこの地は、参詣者をもてなす文化を育んだ。酒もまた、その文化の一部だった。
私がこの町を見るとき、神社と水、そして人の営みが地続きであることに目が向く。清冽な水は米を育て、酒を醸す。伊勢神のクラフトジンは、その水と、この地の植物を合わせた一本だ。ボタニカルジンという現代的な形式だが、根底にあるのは、この土地の自然と人が織り成す関係性である。

地酒の選び方——参詣の町の酒文化
伊勢市には複数の酒蔵がある。吟醸・純米焼酎のギフトは、その伝統を引き継ぐ一組だ。焼酎と清酒、異なる製法の酒を一つの箱に収めることで、この町の酒造りの多様性が見える。晩酌の時間に、季節や気分で選ぶ楽しみが生まれる。

イセシマハイボールは、低アルコールの地ハイボール。夏の夜、伊勢湾の潮風を感じながら、軽く傾ける。こうした酒の選び方は、参詣の町が育んだ「もてなしの心」の現れだと思う。
旅の宿泊と、門前町の時間
伊勢志摩は日本でも有数の観光地だ。伊勢eまちギフト——旅行周遊券は、この地域の宿泊施設で使える周遊券である。参詣の町として発展した伊勢市の中心部に泊まり、朝の静寂の中で外宮を訪ね、昼間は町を歩き、夜は地酒を傾ける。そうした旅のリズムを、この町は20年ごとの式年遷宮とともに繰り返してきた。
寄付をすれば、その返礼品は家に届く。だが本当の返礼は、この町を訪れ、水と酒と参詣の歴史を身体で感じることにあるのだと思う。