北信の高原が育てるリンゴの季節
飯綱町は長野県の北部、上水内郡に位置する。町の西部は標高900メートルを超える高原地帯で、ここでレタスやキャベツといった野菜が育つ。だが、この町の顔はなんといってもリンゴだ。全国のリンゴ出荷量の1.28%を担う産地。数字だけでは伝わらないが、それは毎年、秋になると全国の食卓に届く、ひとつの風景である。
高原の冷涼な気候、昼夜の寒暖差。こうした条件がリンゴに糖度と酸味のバランスをもたらす。飯綱町のリンゴ農家たちは、その実を丁寧に育てる。廃校を改装してシードル製造も始めた。リンゴを果汁に変え、発酵させ、瓶詰めにする。そうした営みが、この町の農業の厚みを物語っている。
秋の台所に、訳ありのサンふじを
飯綱のサンふじは、形が不揃いだったり、傷があったりする。だからこそ、家庭の食卓に届く。市場向けの「完璧さ」を求めない分、寄付額も手頃だ。

届いたリンゴを箱から出す。秋の光の中で、ひとつひとつを手に取る。皮の色は濃い赤。香りは甘い。傷があっても、その中身は変わらない。芯を取り除き、スライスして、そのまま食べる。あるいは、塩漬けにして、冬の間、台所の片隅に置く。加熱してジャムにするのもいい。砂糖と一緒に鍋に入れ、とろりとした琥珀色に仕上げる。その手間が、秋から冬へ、季節をつなぐ。
米と、リンゴの町の食べ方
この町は米の産地でもある。飯綱産のコシヒカリは、北信の水と土が育てた米だ。秋に新米が届く。その米を炊き、リンゴのジャムを添える。あるいは、リンゴを薄くスライスして、温かいご飯の上に乗せる。甘酸っぱさが、白いご飯の淡白さを引き立てる。

町の西部の高原では、野菜も育つ。だが、この町を知るなら、やはりリンゴから始めるべきだ。秋に届く、ひとつの箱。その中身が、飯綱町の風土を最も素直に伝える。傷があっても、形が不揃いでも、その実の中には、高原の冷涼さと、農家の手間が詰まっている。それを家の台所で、季節とともに食べていく。それが、この町への寄付の、最も自然な着地点だと思う。
