甲府盆地の東、水と日差しが育てる果実の町
笛吹市は、甲府盆地の東寄りに位置する。市内を流れる笛吹川、日川、金川、浅川といった複数の河川が、この盆地に水をもたらす。山地に囲まれた地形は、昼夜の気温差を生み、春から秋にかけて果実を育てるのに適している。2004年に6つの自治体が合併して誕生した笛吹市は、その名を市内を流れる笛吹川から得た。合併から数年後の2006年度には、モモの収穫量で全国1位、ブドウの収穫量でも全国1位を記録した。この町は、単なる果実の産地ではなく、日本の食卓を支える「桃源郷」として宣言されている。
春の桃、秋のぶどう——季節が返礼品を決める
笛吹市の返礼品の中心は、やはり果実だ。笛吹市産の旬の桃は、春から初夏にかけて家に届く。桃は、届いた時点では硬く、数日かけて熟す。台所の片隅に置き、毎日触って、その柔らかさの変化を感じながら食べ頃を待つ——これが桃を食べる作法だ。皮をむく時、果汁が手を濡らし、切った断面から香りが立ち上る。朝食のテーブルに置けば、その甘さは一日の始まりを変える。容量が選べるのは、家族の人数や食べるペースに合わせるためだろう。

秋にはシャインマスカットが届く。種なしで皮ごと食べられるこのぶどうは、桃とは異なる食べ方を家にもたらす。冷蔵庫で冷やし、房から粒を外して食べる。あるいは房のまま食卓に置き、家族が手を伸ばす。保存も比較的長く、数週間は楽しめる。

水と土地が生む、もう一つの返礼品
この町の産業は果実だけではない。笛吹川流域の水を活かした醸造業も根付いている。樽熟成のウイスキーと蜂角鷹のセットは、この町の別の顔を示す。甲州ワインの産地として知られる笛吹市だが、ウイスキーもまた、この地の水と職人の手によって作られている。晩酌の時間に、冷たいグラスに注ぐ。果実の甘さとは別の、大人の時間がそこにある。
返礼品を選ぶ、季節と家族のペース
笛吹市の返礼品は、季節と家族の食べるペースに合わせて選ぶのが自然だ。春から初夏に桃を申し込み、秋にぶどうを申し込む。あるいは、一度に複数の品を選び、冷蔵庫と冷凍庫を活用して、年間を通じて笛吹の季節を家に呼び込む。高額の旅行クーポンもあるが、この町の本質は、食卓に届く果実にある。その果実を、どう保存し、どう食べるか——そこまで含めて、返礼品は完成する。
笛吹市への寄付は、単なる金銭の移動ではなく、春と秋の季節を家に迎え入れる契約だと考えてもいい。届いた桃を熟すまで待つ時間、シャインマスカットを冷やす時間、そうした日常の営みの中に、この町の風土が息づく。
