山の水が育てた、白身の旨さ
上市町は東高西低の地形をしている。町域の大半が山地で、東南部には剱岳を主峰とする北アルプス・立山連峰が連なる。早月川、上市川といった水源を擁する山々から、清冽な水が平野へ流れ落ちてくる。その水系に沿って、古くから人の営みが根付いてきた町だ。
カジキの昆布締めは、そうした山と川、そして新川平野の海とが地続きの風土を、一皿に凝縮した返礼品だ。カジキという白身魚を、昆布で締める。昆布の旨味が魚の身に浸透し、塩辛さと甘みが層をなす。冷蔵庫から取り出して、そのまま酒肴にできる手軽さがある。

届いた時点で既に調理が完了している。夜、晩酌の支度をする時に、小皿に盛るだけで食卓が整う。白ご飯の上に乗せても、日本酒の肴にしても、その日の気分で使い分けられる。昆布締めは日持ちがするから、冷蔵庫に常備しておけば、急な来客時にも重宝する。山深い町だからこそ、こうした保存食の知恵が生きている。
里山の酒蔵が仕込む、純米の静けさ
上市町の中央部には、上市川、郷川、大岩川といった河川が流れ、その沿岸に集落が点在する。そうした山里の一角に、清酒 白萩を醸す蔵がある。里山の駅 つるぎの味蔵という施設で、地元の米と水を使った純米酒が仕込まれている。

白萩は、派手さのない酒だ。香りは控えめで、口に含むと米の甘みと酸味が静かに広がる。冷やして飲むも良し、ぬる燗にするも良し。季節や気分に応じて、その表情を変える。昆布締めのような保存食と合わせると、塩辛さが酒の甘みを引き立て、酒が魚の旨味を深める。そうした相乗作用が、家族の食卓を豊かにしていく。
上市町は冬季に雪が非常に多く、特別豪雪地帯に指定されている。そうした厳しい季節を、こうした食べ物と酒で静かに過ごす。山里の暮らしの中で、こうした返礼品が家に届くことの意味は、単なる物の交換ではなく、その土地の季節感と生業を、自分たちの食卓に招き入れることなのだと思う。
