扇状地の町、海に向かう
高岡の町は、二つの川が運んだ土地の上に立つ。庄川と小矢部川。北東から南にかけて広がる扇状地に、1609年、前田利長が城を築き、町を開いた。城は15年で廃城となったが、その後の商工業への転換が、この町を今まで支えてきた。
町の北東は富山湾に面している。雨晴海岸は、男岩・女岩といった島々を抱き、湾越しに立山連峰を望む。この海が、高岡の食卓に何をもたらすか。
昆布締めの詰め合わせは、その答えの一つだ。カジキ、車鯛、甘えび、つぶ貝——富山湾で獲れた魚を、昆布で締める。昆布の香りが、白身の甘さを引き出す。刺身として、そのまま食卓に届く。冷凍で送られてくるから、解凍して、酒の肴に、ご飯の上に。季節を問わず、湾の味を家に迎える。

鋳物の町が、海の幸を仕立てる
高岡は、高岡銅器で知られる鋳物の町だ。城下町として発展した商工業の伝統は、銅器だけではない。海に近い立地が、漁業と食の加工を育ててきた。
別の昆布締めセットには、真鯛、いか、甘えび、ひらめ、たこ、鯵が入る。同じ昆布締めでも、季節や漁況で顔ぶれが変わる。その時々の海が、食卓に映る。

町の南部は砺波平野に含まれ、屋敷林に囲まれた散居村の風景が広がる。北は海、南は平野。高岡は、両方の恵みを受ける地形の上に立っている。
温泉と工芸、町の別の顔
雨晴温泉の宿泊補助券は、その海岸の景勝地に泊まる道を開く。磯はなびという宿で、富山湾を眺めながら湯に浸かる。高岡銅器のデカンターは、町の工芸の技を、日常の食卓に置く。ワインを注ぎ、光を通す銅の色合いが、晩酌の時間を静かに彩る。
前田利長が名づけた「高岡」は、『詩経』の一節に由来する。鳳凰が鳴く高き岡。その町は、今も、海と平野と山に囲まれ、商工業の手で、日々の暮らしを仕立てている。