雪に包まれた盆地の米
魚沼市は、新潟県の南東部に位置する盆地だ。周囲を山に囲まれ、冬は市街地でも積雪が2メートルを超える。年間降雪量は900センチを超える地域もあり、この国有数の豪雪地帯であることが、この町の産業も食卓も形作っている。
私がこの町を見るとき、まず思うのは「雪が仕事をしている」ということだ。1934年、小出島の有志が佐梨川から灌漑用水を引き入れ、雪を流す「流雪溝」を始めた。冬の雪を、春の水に変える。その工夫が、やがて稲作を支える水となり、米の品質を高める環境となった。魚沼産コシヒカリが知られるようになったのは、この雪と水の関係があってのことだ。
魚沼の天下一コシヒカリは、その風土の代表だ。3キロという量は、家族の食卓に毎日届く米として現実的だ。新米の季節、袋を開けたときの香りは、この盆地の秋を運んでくる。炊きたての白さと、粒の立ち方を見れば、雪解け水で育った米の違いが分かる。おかずがいらないという謳い文句は、決して大げさではない。塩むすびにして、そのまま食べてみてほしい。米そのものの甘さが、口に残る。

雪室で熟成する、冬の酒
米があれば、酒がある。魚沼市内には複数の酒蔵があり、この町の冬の厳しさが、酒の味わいを深くしている。
玉風味は、国際ワインチャレンジでゴールドメダルを受賞した酒だ。しかし受賞歴よりも大切なのは、この酒がどこで、どう熟成されたかということだ。魚沼の冬は、天然の冷蔵庫である。雪室貯蔵という手法は、この町の豪雪を資源に変えた知恵だ。低温で、ゆっくり熟成された酒は、角が取れ、深みが出る。晩酌のときに、ぬる燗で飲むと、米の香りと酒の香りが重なる瞬間がある。それは、この町の冬の夜そのものだ。

定期便で、季節を感じる
雪室貯蔵のコシヒカリは、定期便で届く。3ヶ月、6ヶ月と選べるのは、家族の食べ方に合わせるためだ。毎月、新しい米が届く。それは、この町の季節が、あなたの台所に届くということでもある。春先に届く米は、前年の秋に収穫され、雪室で眠っていたものだ。その米を炊くとき、あなたは知らず知らずのうちに、魚沼の冬を食べている。
にごり酒「万季」は、冬の酒だ。濁りの中に、米の甘さと酸味が共存している。冷やして飲むのもいいが、この酒は温めると、その本質が出る。家族で囲む食卓で、温かい酒を飲むとき、盆地の冬の深さが伝わってくる。
魚沼に寄付するということは、この町の雪と米と酒の関係を、自分の食卓に招くことだ。返礼品は、単なる商品ではなく、その町の冬の営みそのものなのだ。
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