棚田が刻む風景、そこから生まれる米
上越市の地形を見ると、内陸の高田と沿岸の直江津が相互補完の関係で発展してきたことがわかる。高田は江戸時代の城下町、直江津は北前船の時代から港町として栄えた。その間に広がるのが頸城平野だ。私はこの平野を、単なる農地ではなく、二つの町を支える「食の基盤」として見ている。
棚田米 コシヒカリは、その平野の傾斜地に刻まれた棚田から届く。棚田は人の手が何世代も入った風景だ。春の水張り、夏の草取り、秋の稲刈り——季節ごとに手をかけた米は、スーパーの流通米とは別の時間軸を持っている。届いた米を炊くとき、その手間が米粒の一つひとつに詰まっていることを感じる。朝食の茶碗に盛ったとき、この米は単なる主食ではなく、上越の土地と労働の記録になる。

上越は豪雪地帯だ。冬の厳しさが春の水を豊かにし、その水が棚田を潤す。米作りは気候と地形の合作である。だからこそ、この米を食べることは、上越という土地を台所に招くことになる。
晩酌の時間に、城下町の酒
高田城の城下町には、古くから酒造りの文化がある。能鷹特別純米酒は、その伝統を引き継ぐ一本だ。純米酒は米と水と麹だけで仕込まれる。上越の水、上越の米——この土地の素材だけで作られた酒は、晩酌の時間に、その土地の味わいを直接的に伝える。

冷や、ぬる燗、熱燗。季節や気分で温度を変えながら飲む。冬の夜、熱燗で飲めば、体の芯から温まる。そういう使い方ができる酒こそが、家の食卓に着地する酒だと私は考える。
季節の手当てとしての返礼品選び
新之助 上越産も、同じ頸城平野の米だ。新之助はコシヒカリより粒が大きく、甘みが強い。棚田米とは別の品種を選ぶことで、同じ土地の米でも食べ比べの楽しみが生まれる。米は毎日食べるものだから、複数の品種を組み合わせることで、季節ごと、月ごとに違う味わいを家の食卓に呼び込める。
八恵久比岐 大吟醸「空」は、より格式のある酒だ。大吟醸は米を磨き、手間をかけた酒である。晩酌の毎日ではなく、季節の節目や来客時に、ゆっくり味わう酒として選ぶ価値がある。上越の酒造りの技術が、この一本に凝縮されている。
上越市への寄付は、棚田と城下町の歴史が生んだ食材を、家の台所に迎えることだ。米は毎日、酒は季節ごと——そうして上越という土地が、少しずつ家の食卓に根付いていく。
