工業地帯の隣に、緑のコース
市原市を知る人の多くは、東京湾岸の石油化学コンビナートを思い浮かべるだろう。製造品出荷額が全国第2位、千葉県内では圧倒的第1位。夜間には工場群がライトアップされ、工場夜景都市として選定されるほどの産業都市だ。
しかし同じ市原市の中部から南部へ目を向けると、風景は一変する。養老川の流域に沿って丘陵地が広がり、養老渓谷周辺はハイキング客で賑わう自然地帯。そしてこの地形の中に、日本最大数のゴルフ場が点在している。工業と緑が共存する、市原市の二面性を象徴する光景だ。
ブリヂストンのゴルフボールは、この町の風土を返礼品として形にしたものと言える。市原市に寄付すれば、このボールが家に届く。ゴルフバッグに入れ、市原のコースで、あるいは全国のどこかで打つ。工業都市の片隅で育まれた、緑と遊びの文化が、一つの球体に凝縮されている。

工業労働者の息抜きから、今の風景へ
高度成長期、市原市は急速に工業化した。東京湾岸の埋め立てが進み、石油産業や化学工業の企業が次々と進出。多くの労働者がこの地に集まった。彼らの息抜きの場として、また企業の接待の場として、ゴルフ場は自然と増えていった。
今、市原市が日本最大数のゴルフ場を有するのは、その歴史の積み重ねだ。工業都市という経済的基盤があり、丘陵地という地形があり、そこに人間の営みが重なった結果である。
ゴルフボールを手にすることは、単なる娯楽用品を得ることではない。市原市という町が、工業と自然、労働と余暇をどう両立させてきたかという、その歴史と現在を受け取ることなのだ。