太平洋と山に抱かれた、昆布と牛の町
新ひだか町は、北海道の日高地方で太平洋に面した町だ。2006年に静内町と三石町が合併して誕生した。この町の顔は、何といっても昆布漁と酪農。静内川の河口に市街地が広がり、その背後には日高山脈が1700メートルを超える峰々を連ねている。
私がこの町を見ているのは、『海と山が食卓に直結する場所』としてだ。昆布は三石地区を中心に採れ、それが家庭の出汁になり、加工品になり、やがて牛の飼料にもなる。酪農で育った牛は、昆布を食べて育つ『こぶ黒』という和牛になる。一つの産業が別の産業を支え、最後は食卓に着地する。そういう循環が、この町には息づいている。
日高昆布は、毎日の出汁の相棒
日高昆布の切り出しを推したい。50グラムずつ小分けされた7袋、合わせて350グラム。これは『毎日使う出汁昆布』の量感だ。

日高昆布(ミツイシコンブ)は、この町の三石沖で採れる。肉厚で香りが強く、出汁が早く出るのが特徴だ。届いたら、一袋を水に浸して、朝の味噌汁の準備をする。昆布の香りが水に溶け始める。火にかけて、沸騰する直前に昆布を引き上げる。その瞬間の湯気の香りが、この町の海そのものだ。
小分けされているのは、開封後の劣化を防ぐためでもあり、毎回『新しい昆布で出汁を引く』という手仕事を続けやすくするためでもある。冬の朝、夏の冷たい出汁、秋の煮物の下準備。季節ごとに、この昆布が台所の基盤になる。
昆布が育てた牛、そして海の幸
こぶ黒のビーフシチュー用は、この町の循環を最も象徴する品だ。日高昆布を食べて育った黒毛和牛。A5等級、800グラム。煮込み料理用に切られている。

冬の夜、この肉を鍋に入れる。昆布で引いた出汁を使えば、さらに町の味が重なる。肉が柔らかく崩れるまで煮込む時間は、この町の酪農と漁業が一つの食卓に統合される時間だ。
旬の魚介の詰め合わせも、太平洋に面した町の恵みを実感させる。西京漬けや干物、刺身、煮魚。季節ごとに異なる魚が届く。ホッケ、カレイ、鮭。毎回『今月は何が来るか』という楽しみが、食卓に季節感をもたらす。
米と、ときどきの特別
おぼろづきの玄米も、この町の農業を支える品だ。希少米とされるおぼろづき。玄米で届くので、精米の手間は家庭に委ねられる。毎日の白米として、あるいは玄米食として。この町の土が育てた米が、毎食の基盤になる。
新ひだか町への寄付は、『毎日の出汁昆布』『季節の魚』『ご飯』という、台所の基本を整えることだ。派手さはないが、確かな食べ方が、この町から家に届く。
